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斜陽 太宰治 [本]



斜陽 (新潮文庫)


なんていうか、青年期は誰でも太宰にかぶれ、それを隠したがると言われているが、
やっぱり、本当に恥ずかしい小説。

甘えまで包み隠さず、心にある恥ずかしい部分のひだというひだを、うまくさらけだしているものだから、こちらの甘えた部分まで丸裸にされているような感覚に陥る。
しかも、その裸は太宰の筆によって、見事な退廃の美に構成されているものだから、心地よくなるという寸法?


『斜陽』 貴族に産まれ、生活から切り離れている生き方が身についてる為に、人と交われず、貴族とも交われない悲しさが漂う。今まで頼ってきたものが滅びてこそ、新しい場所に向かえるというモチーフが、もの悲しい。
主人公は結局、愛する人の子を孕んでシングルマザーになるという話で、なんだか美しく語られているらしいけれど。そんな美しいもの?恋という、こころの動きに寄りかかって足がかりにし、今までをリセット⇒ステップアップしようと利用したんでしょ。向こうは遊びでなんとも思ってない様子なのに、やっぱり私の事好きだからでしょ~などという描写は、気持ちが悪い。そして、クセになる。そういう身勝手な一人称の物語が太宰の小説なんじゃないのかしら。純文学の極み?!
リズミカルな文体でラストに流れ込んでいくが、最後の一文にやられた。
 あまりに悲しく滑稽

一人称でよくぞここまで、自分の為の物語を・・・という 『向日葵の咲かない夏』
流麗な文体、活路がありそうな事件があるのに、最後も上滑りな道化でいるだけ・・・という 『野ブタをプロデュース』と同様な読後感。



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