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ボトルネック 米沢穂信 [本]

がちゃのダンジョン  映画&本

このミステリーがすごい 2006年版 国内編 第15位 

「ボトルネック」を書いた 米澤穂信(よねざわ・ほのぶ)さん

【内容】

恋人を弔うため東尋坊に来ていた僕は、強い眩暈に襲われ、そのまま崖下へ落ちてしまった。―はずだった。ところが、気づけば見慣れた金沢の街中にいる。不可解な想いを胸に自宅へ戻ると、存在しないはずの「姉」に出迎えられた。どうやらここは、「僕の産まれなかった世界」らしい。

【感想】

「自分が生まれなった世界」で、見えたことは?

自分の存在価値を徐々につきつけられちゃうので、結構キツイです。
この主人公の子は、家庭が幸せでない?からかわいそうですが、辛いこととか、何でも受け入れてるんだけど、周りに働きかけることもしない。
「右から左に受け流す~」的な生き方なんですよね。
それで普通と思っていたわけで、そうやって自分の立ち位置を維持していた。
ところが、比較できない筈の自分と、同等の位置にいる別世界の別人物に会ってしまう。
そこには自分ではなくて、元気で明るい「姉」がいた。



著者の米澤さんの対談インタビューによると
「思春期における全能感の裏返しとしての」 「無能感の化け物」を書きたかった
とのことです。
徹底的に不要な自分を突きつけられるのも、いいかもしれない。
後味よくないし、お気楽なエンターテイメントではないので、心の弱っている時にはオススメできないかな。
教訓めいた事はひとこともないのに、グサッと一突き、えぐってくるような一冊でした。
でも、それこそ、この本の価値なんでしょうね。
若い時によんでたら、きっともっと衝撃をウケてたんじゃないかな。
もしかしたら、嫌いな一冊になっていたかも。
今は、親の立場なので、この子の親たちに腹立たしい気がしてます。


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