SSブログ

映画『桐島、部活やめるってよ』 [movie]

image-20130331042530.png

かっこ良いってなんだろう。
スクールカーストを意識する滑稽さに気がついた時、恋に振り回されている滑稽さに気がついた時、部活を通して好きなことに熱中できることが自分を救うことに気がつく。結果や見栄えじゃない。
表題の桐島の退部が「懸命」を反問している朝井リョウ原作の構成もすごいわけだけど。
人の評価を気にして生きることの価値は?
出来ることと幸せは同義じゃない。

万能な桐島と関わっていた面々は、桐島と関わることで得ていたステータスに気がついて慌てふためいて桐島を探し回る。学校という狭い世界だからこそ重要なステータス。あぁ、でもそれは社会でも同じで、一流企業のステータスが地に落ちたときのあがきぶりと重なるか。そのあがきのなかで、下層と認識している映画部の活動をどんなに邪魔しても何も感じない鈍感ぶりも。

学校の枠に収まらない「本当の自分」とやらを意識しながら、どこか自己プロデュースに振り回される矛盾。心の中で空回りする自意識。「かっこいいよ」という賞賛の実体のなさ。満たされない。気がつけた。
そんな心の情景が鮮やかに描かれる。

状況を角度を変えてリフレインする演出も巧み。直接的な説明を極力省いているからこそ、原作より毒がなくてメッセージにすんなり誘導される。純文学の正当な映画化だと思えた。

神木龍之介君の台詞まわしがいい[ぴかぴか(新しい)]
神木君は映画部の監督役。ゾンビ大好きぶりが面白い!信望する映画の代表として塚本晋也監督の「鉄男」が出てきたわ。いいとこきますね。(あら「妖怪ハンターヒルコ」も塚本監督作品だったのね!)

撮影の主題を決めるのに、先生がリアリティが大事とテーマを押し付ける、でも学生はゾンビの方がリアルという(笑)。大人と子どもの価値観の対比みたいなやりとりもあってリアル(笑)。青春ど真ん中だとリアルってどこか必要ないものかもね。

このど真ん中なリアルは学生にも支持されてヒットしたわけだけど。



nice!(4)  コメント(1)  トラックバック(0) 

nice! 4

コメント 1

あゆこ

学校は、カーストは残酷だということを教えてもいて価値観をそこに合わすことを学ばせたりする狭い世界。個性のアピールという西洋的な概念に追われながら、日本的な空気を読むことに振り回される二重苦が現代の日本人の課題になる今。自分をキャラだとか無難な役柄の枠に当てはめ、個性的であろうと振る舞うことと並行しながら同調圧力やらで「自分は自分」で居られないから全く厄介!

by あゆこ (2013-04-11 06:02) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

Sigur Rós - Brennist..千鳥ヶ淵の桜 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。