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映画『鬼が来た!』は半澤ロスに効き過ぎた! [movie]

昨日は頭痛が治まらずに何も出来なかったので映画。半澤ロスなので堺雅人のまったり映画『ジャージの二人』と香川照之の気迫と狂気の原点、2000年カンヌグランプリ受賞作『鬼が来た!』鑑賞。どちらも映画の良さが味わえました。言語化できないものもしっかり伝えられてる!そして後からジワジワ余韻が来ています…。

中国映画の『鬼が来た!』の鬼は日本人(鬼子)のこと。太平洋戦争末期が舞台。抗日映画かと思いきや双方の触れ合いがシュールな笑いに包まれます。

万里の長城近くの辺境の村に麻袋で運び込まれ、世話をされることになった花屋(香川)と通訳。世話役のマー(監督でもある姜文)に悪態をつくつもりが…「おじいさん、おばあさんおめでとうございます!」とやらかす。保身の為に通訳がウソを教えたんですね。そんな感じで和やかな関係になってもそのまま進まないのが戦争。戦争自体が不条理だらけなので、アングラ舞台の不条理な設定をそのまま現実にシフトさせているような錯覚を覚えます。

中国当局は上映禁止に?
中国共産党は北部に少数しかいなかったのに日本軍を追い出す為に英国が資金援助して成り立ったわけだから、中国共産党の存在意義から行ってもあくまで日本軍は残虐であって欲しいということかしら。

■カンヌ映画祭受賞作品「鬼が来た」―中国で上映できなかった理由―
http://youtu.be/T9xZNg0I_Sw
ふむふむ。ほんとに当局オススメの映画は一面的なイデオロギーで作られていてなんて薄っぺらいんでしょうね。統治下での村人の愚昧ぶりが気に入らないと?「村人はそんなもの。戦争のバカバカしさを描いている秀作」と詩人に話させる中国番組は健全ですね。

負傷した日本兵を見て嘆く日本女性の姿を映したり、同じ人間であることをしっかり描きます。とはいえ日本軍をただただ好意的に描いている訳でもなく、体罰全開、狂気の沙汰も見栄次第の最悪な展開に頭痛が悪化。

香川照之の記録によると五ヶ月間の撮影現場はずさんで不潔で劣悪で、狂気を引き起こすのに十分らしかったので日本人の役者にとってもリアルな狂乱ぶりだったのかもしれません。

そしてラストは圧巻。温厚なマーがどうして…。(気持ちネタバレですみません。)戦争がもたらす狂気に敵味方もないんですよね。鬼は日本人のことではなく狂気そのものなんでしょう。モノクロ映画なのですが色味の差す瞬間があって…衝撃を産みます。鬼からの解放を示していたのでしょうか。意味深でした。


夢見の悪い人はみない方がよさそうですが、中国当局と日本帝国の歪んだイデオロギーに振り回された国民の姿に、禁断のリアリズムとシュールな深みを与えてくれる意味で必見!

[監督 姜文]

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HanageDarake

あゆこさん、こんにちは。

中国では、勧善懲悪的に『残虐な日本兵を派手に倒す』だけのめちゃくちゃなドラマが乱発し、アミューズメント化しているという報道もチラホラと見受けられます。
そんな中でこういった一方的でない映画が制作されたことは驚きですね。
とは言え、中国国内での上映禁止はやはりというかなんと言うか…。

あと、大江健三郎の『飼育』という小説を思い出しました。
ずいぶん前に読んだ小説なので詳細は憶えていませんが、舞台設定として共通する部分が多いように思います。

改めて『飼育』を読んでから、見てみたいなと思いました。
by HanageDarake (2013-11-11 10:21) 

あゆこ

HanageDarakeさん*\(^o^)/*

こんにちは。半ロス対策とはいえ、カンヌ授賞作とはいえ、オススメするには人を選ばないと…という映画だったので、皆様からのナイスはもちろん、まさかのコメント嬉しいです(^o^)

中国の映画には[抗日]というジャンルがあるそうですね。中国共産党が列強の思惑通りに動いた結果の幼稚な果実…。日本も幼稚な反応をして民主化度を下げたりして、つまらない[右傾エンタメ]を流行らせないでいて欲しいものです。

大江健三郎の『飼育』は読んだことはないのですが設定が似ているのですね。ふむふむ…とネットであらすじをさらったらば、メタファーをふくみながらも、なかなか残酷な話のよう。異分子をコミュニティに入れることで起こり得る残酷な物語は、「内包しきれなかった」として受け止めればいいのかしら、「歪みを拡大させた」のかしら、「心の内側にあるものを引き出した」のかしら…。

考えることが多そうです。
by あゆこ (2013-11-15 19:13) 

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