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sigur ros live @武道館 2013 [music]

5/14 念願のシガーロスLIVE。
summer sonic2012でアイスランドに連行された感動を再びとばかりに当然のように入手したチケット。財布に入れ続けていたのでチケットを見ては、サマソニ(summer sonic)でのアンセムとアンビエントな映像に覆われた幽玄な雰囲気を思い返していたのですが…。

シガーロスからの新曲到着メールで一変。凶暴性を臆せず全面に出しこんだ映画のテーマソングのような新曲。しかもLIVE一ヶ月後にあたる6月発売の新譜も同じくアグレッシブになるようなニュースも…。
じゃあ、LIVEはどうなるの?
想像を書き換えなければならなくなったのは…あ、以前書いてましたっけ?

Sigur Rós - Brennisteinn https://youtu.be/Oc6zXSdYXm8

映像にしても、サマソニのアンビエントな映像と新曲PVのアンドリュー・ホワンの描くハリウッドばりのゴージャスな映像がどうしてもマッチしてこない。

LIVEでの配置は?どうするつもりなの?と期待と心配半分で、LIVEまでの日々は、財布のチケットを見てはあらん限りの想像してみていました。想像を楽しむ為に、というか実際、音を聴く精神状態になれなくて、もちろんLIVE動画やセトリも予習なしの平日参戦でした。

image-20130519224407.png

そして、待ち兼ねた当日。
武道館の二階席、南西ブロックのやや前より。
視覚にはアリーナに集まる方々や四角く薄い白い幕で覆われたステージにスクリーン。サマソニと大違いで何もかもが情報として楽しめそう。この会場ならではの贅沢です。

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7:10くらい?暗転して聴きなれない曲が。しょっぱな新譜からで新生シガーロスの予感。けれども、視覚は幽玄そのまま。幕内部のドライアイスと光の効果で、実態の曖昧な人の姿が幽霊のように蠢いて見えます。スクリーンに映る映像も単色。粘菌が放射状に占有地を拡げていくようで、前回同様生物を模したアンビエントな世界。

と思いきや、そのスクリーンには大写しの演者がどわんと映り、巨人に対する根源的な恐怖で身構えさせられる。色も配置される。
こんな四角い薄幕をスクリーンに使う発想はどこから? 藝術です。

そして、このままこのアートのままでもよいなと感じた瞬間、薄幕が落とされて明るく実態のある人間が目に入ってきました。
これもまたホッとして、演出に振り回される至福に浸ります。

ところが隣の女性がスマホでシャッター音を鳴らしながら撮影していて(T_T)気になることこの上ないので手で訴えておきました。迷惑…そして彼らに失礼。

その後、後方横長なスクリーンは真っ赤に染まっていって…お馴染みのPV。サマソニでは披露されなかったVAKA。毒マスクを付けて野外で遊ぶ子ども達の姿が映されます。
sigur ros - untitled #1 (vaka)
https://youtu.be/P0AZIFmkogY

そして、また聞いたことのない新曲。民族金属打楽器を左右に配してはさみうちなんて鼻血もの。ワールド好きにはたまりません。打楽器の名前がわかりませんがチャイナドラ、タイコング?東南アジアの祭りの神楽のようでアイスランドではなさそうです。
こんな分け与えてくれるグローバル化は好き。


天国にいるかのように響くグロッケンから、轟音へと転回していく構成の妙も魅力なのだけど、二階席からなので、演者をみるだけで視覚からも曲の変節が感じ取れて鳥肌もの。
Sigur Rós - Sæglópur
https://youtu.be/cZUy8-zX67c

ただ、音はサマソニの時のように楽器毎の明確さをもって感じられません。サマソニの時はホールというより限定された視覚のなか、サントリーホール以来の音の粒感に心震えていたのだけれど大ホールだからしょうがないですね。もちろん今回は低音の振動が建物内の全てをビリビリと震わせていて高揚するのに十分です。

光の演出も素晴らしく、例えばオレンジの光を階段状に配していて、それはまるで燈明で、『Varúð』のPVの延長のようでもあったり、音楽が何かを祈る儀式の為のものになっていって、ヨンシーの天使の声が捧げもののようになっていました。


このところアルバムを出す度に新曲が浮いたように感じられる彼らで、明るく派手め(後半はいつも通り)な『残響』→実験的で地味な『valtari』→今回の激しい『クウェイカー』と毎回反動をみせる変節。
サマソニは地味な『valtari 』からの曲を浮かせない為に全面アンビエントにしたと思ってましたが、今回は新曲が4曲あるせいか、地味な『valtari』からの『Varúð』もすっかり馴染んで聴こえてきます。そしてサマソニよりずっと明るい仕立て。

セトリは、新曲や少し凶暴な曲なダーク色を明るい色合いのアンセムに挟みこんでの配置です。安心出来るアンセムは例えばこんな感じ。

Sigur Rós: Hoppípolla - Með Blóðnasir, HD center rail Madison Square Garden NYC NY 2013-03-25 https://youtu.be/ZIS53xPOT7c
(LIVE動画ネタバレ注: この動画でも観客席を煽ってる^^; けどこんなテレテレした煽り方じゃなくてもっとウキウキな感じだったような)

少し前に観た映画『幸せへのキセキ』で聞いた時の多幸感も蘇ります。

あと、映像も相変わらず斬新。色彩豊かで、色の粒が飛び交う映像をRO69で粉川氏がポロックのようと称してましたが、私は飛んでゆく胞子を思い起こしてしまい、映像に音が魂を入れ込んだ結果として、やっぱり有機体のイメージです。

image-20130519224305.png

特に粘菌の、時にはアメーバのように、時には胞子を飛ばす植物のように成長と環境で変化をみせるさまと映像がつながります。自然と生命が呼応して生きている=本来の姿でいられる。そんな生命の喜びを分け与えてもらえてるイメージでもあったりして。

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また、10曲目の新曲では、残忍なギターの響きと吹き飛ばされる車(原水爆実験)の映像との融合が人間のやるせない本質をグサリとえぐってきます。かと思えばポリス色?赤青黄色が鮮やかでした。

そして新曲『Brennisteinn』ではPVを彷彿させる映像とともに独特の世界を際立たせます。以前の日記では…

◆Sigur Rós - Brennisteinn

凍てつく音に加わる疾走感。
単調が重層を産む中、ふいに儚くて透明な歌声と軋んだ音が交錯しながら飛び交ってみせる。絶妙だ。

暴力と救済を二律背反で併せ持つ自然の有り様を、そして人間の原理的な感情の有り様を描いているようでもある。

新譜からの一曲。新譜は激しさをより回帰させるのだろうか。http://sigur-ros.co.uk/kveikur


などと単調が重層を産んでいると書いてましたが、音色の複雑さは単調と程遠いものでした。バックのホーン、弦楽器兼コーラスの女性陣の忙しさを見ているだけで複雑さを物語っていて目まぐるしい〜。

アンコールをはさんでのラストは定番のラストソング『Popplagið』。Sigur Rós - Popplagið live 2013 ITALY
https://youtu.be/yyxdUdc45zs (LIVE動画 ネタバレ注)

轟音を飽きさせずにいつもの世界観にじっくり引き込むこと長い長い!セットリストを見たら15分も。この後はどんなヒット曲も思い浮かばない。ラストだ…。でも、これで満足。
そんな気持ちを呼ぶラストでした。

あぁ、観てよかった…>_<…

image-20130519224828.png

[追記]
vakaを思い出したら鳥肌が。ゆったりめの音調がたまりません。
終わった直後にアリーナから「愛してる!」の掛け声! 間が良くて達人技。アリーナだからこそ言えて羨ましくもあり日本語通じないよ、とつっこんでました。ちなみに愛してるをアイスランド後でÉg elska þigというようです。誰か言わないかな。自分では読めません!?(・_・;?

Svefn-g-englar のソナー音に合わせて燈明が星々みたいにまたたいて野外にいる感覚になりました。いろいろ味合わせてくれます。
また観たい…>_<…


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りあむ

冒頭の白いヴェールに包まれたまま終わってしまったらどうしましょ?と要らぬ心配をしてしまいました。あのつぶつぶが粘菌と重なり合うなんてすごい観察眼です。!(^^)!
by りあむ (2013-05-21 22:05) 

あゆこ

ほんとそんな心配をさせるくらい、あのまま始まったのには度肝を抜かれましたよね。始まってびっくり、落ちてびっくり(笑)
粘菌はニュートンの記事の写真が脳裏にこびりついているタイミングで見たからですσ^_^; 全て自然現象のなかにあるように感じさせる彼らの成せるチカラでもありそうです!
by あゆこ (2013-05-22 21:56) 

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