『クレイジー・レディー! 』 [本]
複雑なテーマのわりにすっきりと終着していたわ。
ワーキングプアどころか全然働き口のみつかん無い強烈ママと勉強がいまいちの主人公。
下町を思わせる骨太なつきあいが彼らを支えているし、
毒舌満載なので、一見過酷だけど軽妙に話が進むので嬉しい。
読む価値あり!
・・・と説明に煮詰まったので、福音館の担当者のコメントが遙かに
言いたいことを表現してくれてました。じゃよろしく。
★編集担当からのメッセージ
昨今、アメリカという国は何かと評判がよくないですね。
冷戦後世界の“たったひとりの勝ち組”には、
どうも風当たりが強いようです。
だけどそこには、私たちと同じような「庶民」が、
毎日の暮らしをつむいでいるはず……。
そこで本作品です。
ところは東部ボルチモア、「テンリー・ハイツ」と呼ばれる下町。
出てくる人出てくる人、なんだか私たちのまわりにもいる感じの
人間くさい顔ぶればかり。
悪口もあれば仲たがいもあり、でもここには、コミュニティ=「ご近所」が、
ちゃあんと成り立っているんですね。
そこに住んでいるごく普通の少年(というか、どちらかといえば出来のよくない、ダサいタイプ)が、
ハンディだらけの母子とつきあうようになって、
彼らのためにひと肌ぬいだり、
自分のこと家族のことを見つめ直したりしていく……
という物語。
シリアスなテーマを含んでいるのに、
読み心地がとてもすっきりしているのは、
作者のストーリー・テリングの巧みさと、
生き生きした細部の描写が力になっているためでしょうね。
なんとリアルで、生き生きとして、心温まる物語!
成長を求めるひたむきさやコミュニティの底力に、
アメリカの「普通の人々」が持つすがすがしいパワーを感じます。
ラストはせつないけれど、読者の心には、
人の世や人生を肯定する熱い思いが満ちてくることでしょう。
http://www.fukuinkan.co.jp/detail_page/4-8340-0644-1.html
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