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『宇宙のみなしご』森絵都 [本]


宇宙のみなしご
「ぼくたちはみんな宇宙のみなしごだから。
自分の力できらきら輝いてないと、宇宙の暗闇にのみこまれて消えちゃんだよ」
この言葉だけでは薄っぺらいのですが、
ラスト、今まで一人でどの方向に行ったらいいかもわからない、
生きているあらゆる場所でずっと迷子になっていたキオスク(男の子)の
心の重さを最後の最後で感じるからこそ、深く心に入っていくようです。

自分の足で生きていく事の大切さを試行錯誤している中2の子ども達が
ちょっとドロップアウト気味の大人達に支えられながら、
生きる道を確かめていくお話かな。
かっこよくて、さらりんと読めるわりにはすごい名作。

「友だちのことでなやんだりするのって学生の特権みたいなとこあるもんね。」
という部分も好き。
社会にでると、経済的な悩みの方が重大だからね。
恋愛に、結婚相手の身内に・・・あと自分のことに。
・・・と続きます。

親が楽しみを与えるくれるとは思っていない姉弟が、
”自分たちの遊び探し”をしていて、
次第にまわりの友だちを巻き込んでいきます。

あっ構成が前出した『リ・セット』と同じだ。
キオスクとビミョウ(リセットのいじめられ役)が、
キオスクが自殺?したとき、ビミョウが転校するとき、
かたや今まで無視していた同級生、
かたや今までいじめていた同級生が
手のひらを返したように泣いたり、同情したりし始める。
それに違和感を感じる主人公。
 ”同情されると傷つく”ことを、
もっと知らなければいけないのだろうな。

自分のポジションや立ち位置、順位なんかが気になって、
友だちを選んだりすることが多い。
学校は戦いの場なんだろうから。
だから、立場の悪い子には近寄らなかったりする。
でも、何か特別なことがあると・・・。
そんな心理に釘をさしているのかな。

流れの中でしか生きていないから、
きっかけがないと考え方の違いそうな人間とは触れ合えない・・・
のも充分わかるけどね。
だからこそ、主人公達のたくましさがとてもまぶしく、愛おしい。
読んでよかった一冊!

わくわくした気持ちを我慢しない。
自分たちで遊びを作り出して、
退屈に負けない想像力が大事ね。
みんな一人ぼっちの宇宙のみなしごだから。
ときどき手を繋げる友だちがいるといいね。


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あんこ

り・せっとと一緒だ!
確かに!
by あんこ (2006-08-01 18:02) 

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