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天地明察(映画) [movie]

天文と算術が大好きな碁打ちの安井算哲。将軍様の御前試合では予め示された展開を打つのが定例だったが、ある日真剣勝負を望み、初手で天元(碁盤の中央)に打ち下ろす。

自らの職に半ばピリオドを打ったと言えるのだけど、それは才能を開花させる序章だった。

地球が丸いことも公転も知られていなかった時代。吉凶を暦で決めていた時代。導入800年のうちに明らかにずれて来た暦を『改暦』する事業の責任者に任されたのだ!

当時、暦を司るのは朝廷。暦は利権も絡む。変化することを嫌う権威は、算哲らが出した結果に対して…。

さてどうなるのでしょう!

筋立ても単調なのですが、そこに至るまでの物語にどうしようもない失敗もあったり、夫婦愛もあったり、仲間と織りなす真実に懸ける科学へのロマンもあったり、と細部がとにかく飽きさせません。この後ネタバレ少々。

当時、こんな計測で?こんなことが出来てたの?って感じです。
全くすごい。歩測だよ。

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映画の算哲役は岡田准一君。天文や算術に対して犬ころみたいに喜んで夢中になる、好きで好きでたまらない好青年を爽やかに演じていてGOOD。

北極星の位置を測りに全国行脚する「北極出地」の仲間、笹野高史と岸部一徳演じる老人達がまた良くて思い返してはにやにやできるくらい。算哲が正しい答え「明察」を導いた時は「安井算哲、ご明察!主は天の申し子か?」と褒め称える様子が率直でとても気持ちいい!

ちょうど『僕と息子のアスペルガー物語』http://gendai.ismedia.jp/articles/-/34699 を愛読しているのだけれど数字好きが集まる『ナンバー同好会』内で仲間への評価が率直なこと潔い。障害はさておき純粋な科学好きは率直な評価を表すのだろうな〜と想像してしまう。

あと、中井貴一演じる水戸光圀も魅力的。当時ワインを飲む情報通。ネパールに住んでいたという作者の冲方丁は黄門様のイメージがないからの書きっぷりだったのだけど、そのギャップが次作『水戸光圀』に繋がってるんだとか。(次作も面白そう。)

猿之助演じる関孝和の力強さもいい感じ。
あと、数学だけでも天文計測だけでも解決出来ない限界が訴えられたりして、まさに現代の天文学と物理学と数学の補完関係を示していて、、、だよね〜って頷ける。

朝廷のメンツも配慮する幕府や民衆の描写も小説とはいえ、さもありなん。

冲方丁さんはあまり知らないけれども発言もとてもリベラルで好感度大。江戸時代は女子含めて算術が娯楽。今でも数独が流行ってる。算哲を産んだ土壌がある。そんな国民性を持つ日本人に対して、リーダーは「俺がやってる」じゃなくて「この指針で行こう」と示すだけで国民は問題を解決するはずなのに、今は萎縮させる方向。リーダーに全てを任せるんじゃなくて、自主的な動きをしやすくしてくれるリーダーを選びたいですね。とのこと。

サッカーなでしこジャパンの佐々木監督と同じこと言ってますね。がっちり合致!
リーダーは主役になるな。「引き出せ」
うん、日本人にとって強烈な自我の確立は大きな課題じゃないかも。


あ、あと宮崎あおい演じる妻のえんとの描写も微笑ましい。


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そして、この映画、セリフがまたいいのよね。

初代会津藩主 保科正之
「安井算哲、天を相手に真剣勝負みせてもらう。」
「御意」

安井算哲「天の定石を正しく掴み、天地明察を成し遂げなければなりません。」

建部様「あまねく星々を…この両の手に」
(ビッグバン直後ならできるね!)
あぁ、ロマンチック。

そして、音楽は久石譲。
千と千尋っぽいのがまた楽しかったり、しっかり映画の世界を盛り上げて、私達を星々に近づけてくれています。

観て良かった!


天地明察予告
https://youtu.be/dIsT6NWz-3E

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ミモザ

こんにちは!
前の記事と前の前の記事も読ませてもらって「すごいな」と
帰宅しておりました(__)
「宇宙のはじまり・・」私は宇宙は神の(大いなる善のエネルギー)
管轄と思っていますが論じるのは難しいです。

この映画は見たいですね。セリフが心に飛び込んでくる感覚は
たまりませんね。
数年前に「大王世宗」というドラマを必死で見ていました。
ハングルを生み出した王ですが天文にも長けていてというか
(人材を引き寄せることのできる王)で朝鮮独自の暦を
命がけで作った人でした。
この映画となにか共通性があるのかなと興味が湧いています。
岡田君はいい役者さんになりましたね(^^)
by ミモザ (2013-02-18 15:22) 

あゆこ

ミモザさん*\(^o^)/*
読んでいただけてコメントも!嬉しいです(≧∇≦)
宇宙の始まり…大いなる善のエネルギーのイメージっていいですね〜。何者かを存在させること自体、母なる愛というか、意味を欲するエネルギーがなし得ている気がしますし。うわわ、論じるのは難しい。
ミモザさんの日記がどうして優しくて大きいか、ミモザさんの考えを作る一端が見えたみたいです*・゜゚・*:.。
「大王世宗」というドラマは知りませんでしたが、見たらきっと楽しめそうです。王の仕事もこなしながら、あの合理的な文字の開発に、暦作りってどんな天才でしょうか!!!王自らとなるとまた重みが違いますね。王とはいえ足下をすくいたい人々に囲まれているだろうし。命がけとなるとやはり共通するものはありそうです。
岡田君〜演技もですが立場が変わるたびに髪型が変わるのですがどれも良くて、ここも見るポイントです^_−☆


by あゆこ (2013-02-19 18:19) 

りあむ

彼は実在した人物なんですね、またまたお勉強になりました。
こないだのロシアの隕石(流れ星?)は、なんて綺麗なんだという感想と、すさまじい破壊力にびびりました。
by りあむ (2013-02-19 23:15) 

ミモザ

全く自分に自信が持てなくて劣等感だらけな私なのに
過分なお褒めの言葉に涙が出そうでした。
結構、ユニークな考えをしますので友からは退かれるんです。
でも、あゆこさんに↑のように言って頂けて自信が出ました(^^)v
単純なのも特徴です。
>王とはいえ足下をすくいたい人々に囲まれているだろうし。
命がけとなるとやはり共通するものはありそうです
全く、おっしゃる通りでして「大王 世宗」を見られたのかと
思いましたよ。やっぱり、この映画は見たいですね。
(これにはレスはいいですからね。)
by ミモザ (2013-02-20 07:12) 

あゆこ

りあむさん(^。^)
私も映画好きな方に勧めてもらったのでした!
関孝和も名前は聞いてもこんな話じゃないとドラマに登場できないですし、世のなりたちに携わった方々が物語で輪郭を持つのって良いですね。
隕石はびっくりしましたね!閃光を放ちながら降ってきてどかーんですもの。どんな解析されてようと地球は想定外ありまくり囧rz
by あゆこ (2013-02-21 23:27) 

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