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立憲主義と中空構造 ◆総理大臣が立憲主義からの離脱を表明しても問題にならない国 [雑感]

この話は時事がよく整理できてます。
◆総理大臣が立憲主義からの離脱を表明しても問題にならない国

https://www.youtube.com/watch?v=G9_lN5S121k

宮台真司+神保哲生


日本で噴き上がる安藤美姫バッシングへの疑問も整理できます。
「それも生き方だよな〜」って感じだったのに、騒ぎ方がひとつの在り方に収めようとする圧力に感じられて参ってましたが、少しすっきり。


宮台真司氏が語るには、

米英仏などは、同性愛や公民権…激烈な人権差別があるからこそ、公共圏(言ってはいけない場がある)を樹立できているんだそうです。

かたや、激烈な差別がなくて空気のなかで解決できていたから、公共圏が樹立させられなかった日本。公共で言ってはいけない事とそうではない事の区別がついていない。

激烈な差別はないけれども、友達じゃないと差別する日本。他人は平気で罵倒する。それは年々ひどくなっていて他人への暴走は凄まじい。ヘイトスピーチも規制法を作らざるを得ない。自治できない。こんな情けない発想が公共の場に出てきてしまう。
そんな暴走を防いでみせるかのような憲法改正も、立憲主義を平気でなぎ倒すようなあり様…

そして、安倍さんによる立憲主義放棄宣言に対して、海外の記者はそれに気がついても、日本のメディアは取り上げない。

みたいな話でしたが、このまとめでいいかしら。


河合隼雄氏は、『中空構造日本の構造』で日本は相対の中で生きる母性社会であるからこそ、絶対的な中心を持ちにくく中空構造になる、と論じていましたが、繋がりそうです。

http://1000ya.isis.ne.jp/0141.html
■河合は日本が中空構造に気がつかなかったり、そこにむりやり父性原理をもちこもうとすることに警鐘を鳴らした。


『中空の部分にむりやり父性原理。』
まさにこれが、デタラメな発想の源なのでしょうね。


今までも会社も組織も全て家族という発想だった日本。統治権力が、勝手なことをする国民から『日本』を取り戻すという「目的」を手にいれた今、政府・企業・メディア・警察がその「目的」のために、お金に負けていき、次第に家族的一体感という『アイデンティティ』をもって意気揚々と勤勉さを発揮しているみたいに見えます。

小室直樹氏に言わせれば、また『日本教原理主義』の発動というところかしら?
倫理の為ではなくて、見える範囲でのご利益信仰。身近な人の利益の話で流される。

おまけにそれは、立憲主義から逸脱していると気がつかないままだからタチが悪そうです。国際的にどうだろうが、狭い家族のなかでの地位が確保されればアイデンティティは保たれるのでしょうけど。


仲間は大事にして他人は平気で罵倒する現象。この想像力の欠落した行為は日本人のタコツボ化が進んでいることの象徴に過ぎないのに、いっそう国家というタコツボを作り上げようという発想になっていてなんとも…。

そして、小さい家族に丸投げ=国家が公共サービスを放棄する為の布石ではありませんように。(国際的に…世界にはびこりつつある新自由、帝国主義には都合がよいのかもしれないですねσ^_^; 今の都合の為に将来を捧げさせることが得意です。)


家族(保身の為の組織を含む)の一体感【母性による包括】が精神性の原点である日本。河合隼雄氏の言うように、母性社会の精神性を持つ限り、中空構造になり、突発的でデタラメな父性原理を必然的に引き寄せる。

私たちはそういう民族だということを、肝に命じて知るべきだと思うのですが、どうでしょう。

これは自虐ではなくて、母性社会であることをアイデンティティとして確認するため、そして自分達の暴走を防ぐ為。
そして「おかしな他人が勝手なことしている」ではなくて、受け入れて考えるのが母性社会を生きる日本人の美徳のはずですもの。


image-20130710231551.png


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あゆこ

そんな【通説】を聞いた事が有りません(笑)。
頭からの否定でなく、何故?そんな通説が出るのか?
その背景は【多数決原理の民主主義】を民主主義と勘違いし、今の民主主義を正しく理解しない人が多勢いるからです。

一般的な知識で『民主主義』は【主義に非ず、政治制度】です。
英語で書くと、、、
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『立憲主義』"constitutional-ism"つまり"憲法-主義"。
『民主主義』"demo-cracy"つまり"人民による-支配"。
---
本来の『民主主義』は【主義に非ず、政治制度】の事で、語尾は"-ism"じゃない。
つまり『立憲主義』と『民主主義』は並べて比較する対象じゃない。
後にこの政治制度を重視することを『民主制主義』"democrat-ism"と呼ぶようになりますが別の話しです。

今、私達が使う『民主主義』は、『自由民主制』"liberal democracy"または『立憲民主制』"constitutional democracy"のことを『民主主義』と呼ぶに過ぎません。

つまり『立憲主義』『民主主義』は、表裏一体の一致した概念で、
> 民主主義は立憲主義の内在的制約である
というのは、可笑しいと思います。

内在的制約は、私が知るのは人権制約に使う言葉で、人権制約の内在的制約は「公共の福祉」が全ての人権に内在することを言い、『人権を制約できるのは、他の人権だけである』ことを言います。

その意味で、『民主主義』は『立憲主義』を制限しません。
寧ろ逆に、【多数決原理の民主主義】を、『立憲主義』(法の支配)が制約します。
つまり『民主主義』が『立憲主義』の内在的制約で無いのは明白です。

アーレントさんの本を読んでいませんが、彼女の主張は【全体主義】の否定です。
そして今の『民主主義』は、『立憲主義』(法の支配)により『個人の自由と人権』を守られ、アーレントさんが否定した【全体主義】と対立する『個人主義』が基盤の『自由主義』が基盤の『自由民主制』『立憲民主制』を掲げています。

【全体主義】は旧態依然とした【多数決原理の民主主義】から誕生します。
その反省から、今の『立憲主義』(法の支配)が少数派(つまり個人)の自由と人権を守る為に、憲法に『国民の権利』を書き、【国家権力】に『国民の権利』を守る『国家の義務』が伴うことが重要になるのです。

これを『権利には義務が伴う』と言い、『国民の権利に、国家の義務が伴う』ことを言います。
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民主主義の原則
概要:民主主義とは何か
「アメリカ早分かり」(About the USA) 米国大使館レファレンス資料室より
http://aboutusa.japan.usembassy.gov/j/jusaj-principles1.html
民主主義は、多数決原理の諸原則と、個人および少数派の権利を組み合わせたものを基盤としている。
民主主義国はすべて、多数派の意思を尊重する一方で、個人および少数派集団の基本的な権利を熱心に擁護する。
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法の支配"the rule of law"
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B3%95%E3%81%AE%E6%94%AF%E9%85%8D
専断的な国家権力の支配を排し、権力を法で拘束するという英米法系の基本的原理

法の支配は、専断的な国家権力の支配、すなわち人の支配を排し、全ての統治権力を法で拘束することによって、被治者の権利ないし自由を保障することを目的とする立憲主義に基づく原理であり、自由主義、民主主義とも密接に結びついている。
---
つまり、むしろ『立憲主義』(法の支配)が、『民主主義』を制限し『個人の自由と人権』を守るのが、今の『民主主義』です。

貴方の疑問に対する答えとして、こちらの対談もご一読ください。
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参院選前に考える! 立憲主義と民主主義
http://www.magazine9.jp/article/gakko_report/8270/
憲法は“法”ではあるけれど、“法律”ではありません

国家権力の暴走が起こらないようにするために憲法がある

これが立憲主義の考え方ですが、民主主義と対立する概念だと思っている人もいる

しかし、「国家とは人為的に作られた統治権力の主体(State)であって、祖国、故郷という意味の国(Country)ではありません。立憲主義は、あくまで前者の意味の国家を制限するためのものです」
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ハンナ・アーレントさんの写真は、此方を引用しました。
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ハンナ・アーレント入門①
「晴読雨耕」さまより
http://holly3440.blogspot.jp/2013/10/blog-post.htm
by あゆこ (2014-02-12 06:20) 

あゆこ

↑立憲主義と民主主義は互いに対立する、というのが通説?

http://m.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/q12118370527

【全体主義】は旧態依然とした【多数決原理の民主主義】から誕生します。
その反省から、今の『立憲主義』(法の支配)が少数派(つまり個人)の自由と人権を守る為に、憲法に『国民の権利』を書き、【国家権力】に『国民の権利』を守る『国家の義務』が伴うことが重要になるのです。
by あゆこ (2014-02-12 06:26) 

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