『きみにしか聞こえない~calling you』乙一 [本]
乙一は初めて読んだ。”切なさの達人”らしい。
表題作: 頭の中の携帯に電話がかかってくるという設定~私と同じ寂しさを抱える少年からのSOS。それにしても、せっかく運命的な出会いをして、危険だよ・・・って信号をだしていたにもかかわらず、あぁあ、って、なんだか『ライオンハート』にそっくりなんすけど。
華歌:もしも、この歌が・・・とある植物のつぼみから生じたものなら二人は驚くだろうか?
つぼみが人の顔って・・・『百鬼夜行抄』のズルズルってシーンを思い出しちゃったけど、こちらはあくまで悲しくも美しい話になってました。乙一の恐いのも読んでみようかな。
『ナイフを持つまえにダザイを読め!! 文豪ナビ太宰治』 [本]
#自分って才能あるかも。才能あるって言ってほしい。認められたい。そのくせ、自信がない。おだててほしい。私を拾い上げてほしい。私は「えーやりたくないよ」とええかっこしたい。いやいやながら大事にされたい。とてつもなく醜い自意識のお化け。他人の言動が気になる。
そういう思春期の私と、「人間失格」の主人公はシンクロしてしまった。(田口ランディ)
太宰にはまるのは思春期のはしかのようなものらしい。思春期に身もだえする時、読むのが一番。けれども、安定に安住できない大人達にもよさそう。太宰が身代わりになって身を滅ぼしてくれている気がしてならない。
才気がほとばしる言葉に、リストカットするよりも(したことないけど)、効果的な傷が負える様だわ。
”ナイフを持つまえにダザイを読め!!” 重松清
重松清よ。言い得てマス!
『HELP! キレる子どもたちの心の叫び』 [本]
『ハッピーバースディ』などのベストセラーでお馴染み、青木和雄のカウンセリングファイル。心が痛くなってくる・・・心のひずみにはいりこんでしまった親子達の記録。
恐れて避けるか-押さえつけるか-それではおとなも子どもも救われない。
間違った対応であっても、がんばりましたね・・・と言われて初めて救われていく親達。
育てている人間達も自分のしがらみという外圧に縛られて、子どもとの向き合い方に軌道修正がきかなくなっていく。
”タイムロス”は背筋が凍った。ハートボイスに挿入されていた逸話だけど、やっと振り絞って反抗して、家出ができた息子に言い放った言葉は・・・。
”ヘルプ”・・・学校といえども組織。人間の誠実さに触れられる環境にあることを願う。
”ナイフ”・・・おぼっちゃん学院はたいてい勉強一本で人に殴られたことないから、もうメロメロ。らしい。カモられる。そしてナイフを手にするように。
でもラストは、母親の自立、目覚めを呼び起こす。
「・・・ぼくの怒りは消えてしまいました。理解してくれる人がいるって、すごいパワー生むんですね。」
子ども達の中にある無限のパワーがこれからも生まれ続けていきますように!
『陰日向に咲く』劇団ひとり [本]
『ハッピーノート』草野たき [本]
『裏庭』梨木 香歩 [本]
『リ・セット』魚住 直子 [本]
中高生ぐらい自分をリセットしたい時期ってなかったかしら。
『インストール』もインストールし直す話・・・そんな普遍的な願望に寄り添ったストーリー。
なんとなく、友達に合わせている中2の女の子。そしてクラスで距離をおかれている友達との関係。いなくなったハズの父親。気持ちを測りかねている母。あの日、掘った穴に座ると肉体も精神もリセットできると聞き、決行するが・・・。
違う、違う、何となく違和感があるが、よくわからず合わせてしまう。いやがらせだと思っていても。間接的にいじめをしていても、自覚していないらしい友人との葛藤。なにもできない自分。
影で貶めることでつきあいに均衡を保ってているらしいが、転校すると知った途端は帳尻をあわすかのような行動をする友人。・・・そんな友人に囲まれたら、私はなんとかできるのか??大人になりすぎたのか、帳尻を合わす事に慣れたかのようで恐ろしい。なんとなくやだ!という気持ちにも正直になりたいわ。
友達関係を見直したい時にも読んで欲しい一冊!
『あおぞら』星野夏 [本]
『ライオンハート』恩田陸 [本]
『インストール』綿矢 りさ [本]
『凍りのくじら』辻村深月 [本]
重松清『卒業』『みんなのなやみ』 [本]
卒業・・・生きていく上でのわだかまり、のりこえられなかった気持ち。よどんでしまった流れが、『親の死』というものをきっかけに、あるいは死に直面せざるをえない出会いをきっかけに、さらさらと流れ出す。中学の図書室の一冊だけども、身につまされるほど大人向け。
収録された4編のどれも、一時的ではなく本物の涙が流れる。こんなに泣いたことはない。
『まゆみのマーチ』一緒に歩を進めること。愛を伝えること。直線でいいんだ、と信じることができる一編。
『あおげば尊し』はとても厳しくて、結婚式にも呼ばれなかった先生が、いつのまにか集まった元生徒達の「仰げば尊し」の歌に見送られていく。厳しさという愛に気が付かされる一編。
表題の『卒業』は言葉もよいので抜粋。
★ どんなにしても感情がまとまっていかないもどかしさを思い出した。伊藤が死んでからしばらくね感情が砂のようになっていた。手のひらで集めて、こねて「悲しみ」の形にまとめようとしても、形作った端から砂はさらんださらと崩れ落ちる。
★ 思い出の僕たちは自分がどんな人生を歩むのかなどなにもわからず、気楽に、けれど頼りなく、ふらふらと、へらへらと毎日を過ごしていた。僕たちは七月の子どもだった---始まったばかりの夏休みが永遠につづくと錯覚していたね七月の子ども。陽射しはまぶしく僕たちを照らしていた。
★ いつか二人は、あのころの頃わ振り返って、おとなたちが風景にしか見えなかった自分に懐かしさを感じるだろう。それが甘いなつかしさなのか、苦い懐かしさなのかは知らない。ただね懐かしむことができるのは幸せなんだ、と思う。「卒業」ならそれができる。
『みんなのなやみ』 抜粋しちゃっていいのかな。子どもにも同じこと言い出すかも。
いい学校にはいれないと苦労する。だから勉強しなさい。でも勉強したくないんだ・・ではきりがない。一つ目は 踏み込んで、いい学校や苦労する を疑ってみたらどうだろう。二つ目は勉強したくないんだ、といいはるだけでなく、「勉強より大切なものがあるんだ」でもいいし、否定ではなく、前に進もうよ。
ピアスの穴開けるからお金ちょうだい では無理。化膿しないの?と聞かれて安全面で証明できるのか。どうして、開けたいの?今じゃないとだめなの?自分で生活できるようになってからじゃ遅いの?といった問いにきみはどう答えますか。
クラスで余ってしまったり、知らない人に囲まれて相席になったり。いろんな体験をいっぱいして、みんなおとなになっていく。~いつも自分から余りであることを引き受ける女の子が登場して、その子がすごくおとなだった。
いじめ 残酷な心に対して、ぼくらが言いつづけられること。 自分が負ける可能性を引き受けないで、一方的に勝ってやろうとするのはいじめかリンチだ。
おとなが、「おまえがそれをやった時点でもう負けなんだ」と言いつづけるしかない。いじめの心のフタを開けてしまった時点で、根本のところで負けているんだ。